「問い」からまる
プロジェクトストーリー

Start with a question.
KOKUYO's project story.

(Q)reative Story

コクヨの新しい挑戦は常に社員の「問い」から始まっています。
社内外を巻き込みながら「答え」を探しつづけている4つのプロジェクトを紹介します。

THE CAMPUS

My
Question

2030年の働く・学ぶ・暮らす場って、
どんな形が理想なんだろう?

江崎 舞2011年入社

働き方改革室

人の価値観の変化や、技術の進化によって、ワークとライフはどんどん変化しています。そうした変化に対応した未来を描くために、コクヨは企業理念を刷新し、パーパス・未来シナリオ、「長期ビジョン CCC2030」を策定。その実現に向けて、製品やサービスなど新規領域の開拓を進めている最中です。しかし、アップデートするのは製品やサービスだけで良いのだろうか。私たちの働く・学ぶ・暮らす環境もアップデートする必要があるのではないだろうか。そこで、別のテナントビルに全社移転するタイミングで空きビルとなってしまう品川社屋を活用し、2030年に向けた新しい働く・学ぶ・暮らす環境をつくることにしたのです。

My
Answer

社員も含めた地域の人々が
自分らしくいられて、つながれる場所を。

未来のワークとライフを考えるためには、まずはどんな未来が訪れるのか考える必要がありました。そこで、2030年の未来シナリオをプランニングするところからスタート。プロジェクトメンバーとさまざまな意見を交わす中でフォーカスしたのは、「働く」・「学ぶ・暮らす」という領域において、人々の価値観がどう変わっていくのかという部分でした。技術が発達することで「労働」の定義が変わり、人は今以上に自分らしさが重要になるのではないか。そうした個々人同士がつながることで多様な価値が混ざり合い、新しい化学反応が自然発生的に生まれる。そんな環境をつくりたいという想いが徐々に強くなっていきました。

また、これから社会課題と向きあうにあたり、身近な社会=地域住民や周辺ワーカーの皆さんとのつながりを創出できる場所にしたいとも考えていました。都心でも有数のオフィス街である品川をフィールドワークしてみて気が付いたのは、自分らしくくつろげる居場所のような場所が少ないということ。自分たちのオフィスを街に開くことで、街に余白が生まれ、肩の力を抜いて自分らしく過ごせる。集まっていただいた地域住民や周辺ワーカーの皆さんとコクヨ社員が緩やかにつながり、混ざり合う。そんな開かれた環境を目指すことにしました。

KOKUYO’s
Culture

前例がない、が足枷にならない
コクヨのカルチャーが後押ししてくれた。

目指す形が決まり、ようやく走り出せたと思いきや、想像以上の困難が続きました。まず、5年にもわたる長期プロジェクトである上、新型コロナの流行という未曾有の事態も重なりました。さらに、事業としてではなく自社施設として運用するため、収支計算が成立しづらい中で、上層部にどう意義や価値を説明して納得させていくのかという壁もありました。それらを乗り越えることができたのは、コクヨに失敗と挑戦に寛容な実験カルチャーが根付いていたから。プログラムやICTツール、運用方法に至るまで前例のないものばかりでしたが、プロジェクトメンバーが知恵を絞り、部署を超えて協力してくれたからこそ前に進めていくことができたと思っています。

My
Action

オフィスの枠を超えた
「働く・学ぶ・暮らす」の実験場が誕生。

数々のトライアンドエラーとプロジェクトメンバーの努力によって、無事2021年2月15日に“みんなのワーク&ライフ開放区”をコンセプトに掲げた「THE CAMPUS」がグランドオープン。一般開放エリアには個性や創造性を刺激する自社製品を提供するショップやカフェを設置し、アートや緑も取り入れ、まさに自分らしくいられ、各々の個性が緩やかにつながる環境を作ることができました。しかし、オープンして終わりではありません。常にアップデートを繰り返し、自社イベントだけでなく、例えば他社と共催でデッドストックや規格外品の蚤の市「PASS THE BATON MARKET」をはじめとしたイベントも実施するなど、さらに新しい価値や化学反応が生まれる場所へと進化しつづけるため、今後もあらゆる実験を繰り返していきます。

OPEN LAB.

My
Question

ハイブリッドワークという新しい働き方に
コクヨは、どう貢献できるだろう? ハイブリッドワークという
新しい働き方にコクヨは、
どう貢献できるだろう?

嶋倉 幸平2002年入社

イノベーションセンター

新型コロナの流行を機にリモートワークが急速に普及し、私たちの働き方は大きく変化しました。今では、その変化はさらに進み、オフィスワークとリモートワークを組み合わせて働くハイブリッドワーク時代へと突入しつつあります。しかし、働き方の自由度が上がった一方で、オンラインでのコミュニケーションゆえの課題が存在するのもまた事実。豊かな生き方を創造する「WORK & LIFE STYLE Company」になることを目指す企業として、この新しい働き方の課題にアプローチしなければいけないのではないか。そんな問いと使命感が出発点でした。

My
Answer

5Gのポテンシャルを活用し、
空気感すら共有できるハイコンテクストなコミュニケーションを。

実は、コロナ禍以前から働き方はどう変わっていくのか、社内で議論し続けていました。2017年に未来シナリオプランニングという、2030年においてコクヨがどんな価値をどう提供していくのか、未来からバックキャストで考えるプロジェクトが立ち上がりました。私自身も専任メンバーとして議論していく中、技術の進展度合いが、社会の変化に及ぼす影響が大きいということを強く認識。その中でも特に注目したのが5Gでした。

5Gには「高速大容量」「低遅延」「多端末接続」という3つの特徴があるのですが、当時はオフィスにおける具体的な用途を示している事例はほとんどなく、実際どうなるかは空想の域を出ません。何度も社内で議論を重ねた結果、究極まで「低遅延」が実現できれば、場の雰囲気まで共有できるハイコンテクストなコミュニケーションが可能となるのではないか。ハイブリッドワークでは雑談や気軽な相談がしづらいといった課題を解決できるのではないか。そんな発想が湧き、超低遅延環境の開発に着手し始めました。

KOKUYO’s
Culture

コクヨらしい挑戦を後押しする
上司の言葉に勇気づけられた。

開発における苦労話を続けて話したいところですが、実際はもっと手前から困難の連続でした。そもそも5Gのエリア外だったため、基地局の誘致からスタート。オフィス内での設置は当時とても珍しいものでした。さらに、社内に全く開発知見がなかったため、プロジェクトに協力してくれるパートナー企業も探す必要がありました。その上、営業出身の私には通信の専門知識は乏しく、また、製品開発ではなく実証実験であるため、どう経営と接続していくのかも不透明。続出する不安要素を前に「果たして本当にできるのか」という思いが拭えませんでした。それでも、「難易度が高くて重要度が高いことこそやるべきなんだ」と挑戦を押してくれた上司や、支えてくれたチームのメンバー、そして賛同してくれたパートナー企業の皆さんの協力もあり、なんとか形にすることができました。

My
Action

未来の途中にある実験室「OPEN LAB.」発足。
リアルとバーチャルの融合で、安心のある社会へ。

このプロジェクトをきっかけに企業横断で新規開発を行うという一つの型を見出すことができました。その知見も活かして新たな技術開発をオープンに行う実験場「OPEN LAB.」が誕生。現在「OPEN LAB.」ではさまざまな企業の方々と実証実験を行っています。その結果、ハイブリッドワークが定着化する中で、オフィスワーカーとリモートワーカーがあたかも同じ空間で会議に参加しているように感じられるロボットのオフィス導入や、リアルとリモートのコミュニケーション格差解消を目指したバーチャルオフィス空間の構築など、ユニークなプロジェクトが続々と生まれています。今後も、独自の企画を生み出しつづけ、ちょっと先のワクワクする未来を試す場所として「OPEN LAB.」を育てていき、リアルとバーチャルが融合していく中でも、いきいきと働き、暮らせる社会の実現につながるような取り組みを続けていきたいと思います。

My
Question

社会課題への意識の高まりに
コクヨは、どう応えられるだろう?

横手 綾美2004年入社

サステナビリティ推進室

新しい技術や製品が続々と生まれ、私たちの生活はどんどん豊かで便利になっています。しかし、その裏側では環境負荷が高まり続け、地球温暖化や森林伐採等をはじめとした環境問題や人権問題など、社会課題が深刻化。国や地域を超えて、地球全体の大きな問題の一つとなっています。当然、社会の一員であるコクヨもこれらの問題とは無関係ではいられません。コクヨらしく、コクヨだからこそできる形で社会課題の解決に寄与できないだろうか。そんな問いを起点として、私たちのサステナビリティ活動はスタートしました。

My
Answer

コクヨの存在意義と社会課題を紐付け、
真にワクワクできる未来へ舵を取る。

最初に取り組んだことでもあり、最も力を入れた部分。それは、コクヨが目指す目標をどう設定するかということでした。全社として持続可能な社会の実現に貢献していくためには、社員一人ひとりが当事者意識を持って取り組む必要があります。そのためには、単純に目標数値を掲げるだけでは不十分。そこで、コクヨのパーパスである「ワクワクする未来のライフとワークをヨコクする」と紐づけた目標設定を強く意識しました。

環境問題では地球全体の温暖化が進み、生活に支障の出るレベルまで気温が上昇したり、絶滅するような生物が出てきたりする。そんな未来にワクワクできるはずがないという想いから、「気候危機」や「自然共生」に加え、限りある資源を持続して使い続けられる「循環型社会」の実現を志向。その実現に向けてタスクフォースを発足させ、①経営と具体的な目標や取り組みのすり合わせ、②目標を各事業におろして目標達成に向けた施策の設計、③全社員に対する意識啓蒙、という3つのステップに分けて推進していくことにしました。

KOKUYO’s
Culture

暮らしに身近な製品を持つコクヨだから、
お客様まで巻き込んでいける。

私は循環社会タスクフォースリーダーとして旗振りをしながらも、③の社員に対する啓蒙活動を担当。具体的な取り組みも体感してもらうべく工場から出る端材を活用して定規を作るといったワークを実施したり、マテリアリティ目標の理解や自発的な参加を促すための活動「サステナブルラボ」を発足させたり、社員が主体性を持って取り組める環境づくりに励んでいます。おかげさまでサステナブルラボへの参加者は今では、100名超。自由参加の活動に多くの仲間が集まり、部門を超えて前向きに議論や協働ワークができるのは多くの社員がパーパスに共感しているからでもあり、とてもコクヨらしい部分だなと心強く思っています。

また、もう一つのコクヨらしさとして、お客様も巻き込んだ循環型社会を目指している点が挙げられると思います。本当の意味で循環型社会を実現するためには、製品を作る過程だけではなくお客様が使った後の工程も含めて資源が循環するシステムを作る必要があります。生活に身近な製品を数多く抱え、お客様と近い距離にいるコクヨだからこそ、そこまで踏み込むことができる。決して簡単ではありませんが、コクヨがやる意義は大きいと思いますし、ワクワクする未来の実現に大きく近づくと信じて着実に前に進めています。

My
Action

わずか7名から50名超へ。
社内外に着実に循環社会の輪を広げている。

サステナビリティ推進室自体が、まだ創設されてから2年しか経っておらず、推進活動もまだ始まったばかりではありますが、徐々に成果は見えはじめています。発足当初は中心を担っていたのは推進室メンバー7名だけでしたが、今ではタスクフォースも発足し、50名以上が部署を横断して参画してくれています。タスクフォースを超えた社内連携や、お客様と一緒にトライアルをしていく計画も着々と進行中です。1日も早く、具体的な成果を皆さんに報告できるよう、これからもコクヨらしいサステナビリティを力強く推進していきたいと思います。

Carry Campus

My
Question

未来を担う若者の学びを
次世代型のツールで支えられないだろうか? 未来を担う若者の学びを
次世代型のツールで
支えられないだろうか?

久我 一成2015年入社

イノベーションセンター

コクヨは、「働く・学ぶ・暮らす」のドメインで、豊かな生き方を創造する企業となることを目指しています。中でも、私が「学ぶ」という領域に魅力を感じているのは、未来を変える力があるということ。人の学びを支援することで、自ら問いを立てて、答えのない問いに立ち向かうための意欲や能力を育みたい。その力がやがて、ワクワクするような未来を切り拓いてくれると信じています。しかし、肝心の学びの環境が今の学生にとって最適かといえばそうではないと考えています。技術の進化に伴い、使えるツールは格段に増え、コロナ禍を経てオンライン学習が普及するなど学びの形が急速に変化しているにもかかわらず、それに即したサポートができていないのではないか。そんな問いが、このプロジェクトの原点でした。

My
Answer

自分らしい学び方を探る中高生に
デジタルとアナログを横断した新しいアプリを。

まず考えたのは、ターゲットを誰にするのかということ。学びと一口に言っても、幼児からお年寄りまで学び方は大きく異なるため、ターゲットを絞る必要があります。そこで、自らの意志で将来やりたいことを選択しはじめる中高生にまずは焦点を当てました。可能性に満ちあふれ、5年後、10年後の社会を担う世代の学びをサポートすることが、未来を明るくすることにつながるのではないかと考えたためです。

ターゲットを定めた後は、徹底的にリサーチを進めました。教育現場にいる学校の先生にヒアリングを行い、全国の中高生にもアンケートを実施。リアルな生の声を聞くために、中高生のサッカーチームにお邪魔して、大雨の中、高架下で率直な意見を聞いたこともありました。そうした地道な活動の結果見えてきたのが、スマホで撮影した画像を勉強に役立てたいというニーズでした。今では、ノートの貸し借りではなく、写真を撮って送るのが主流。そこにラインを引いたりメモを取ったりと編集したいものの、世に出ているアプリはビジネス用途が主流で勉強には不向き。そんな声をもとに、デジタル上にシンプルなアナログノートを再現するアプリを作ろうというアイデアが生まれました。

KOKUYO’s
Culture

若手一人の提案も後押ししてくれる実験カルチャーと
文具開発で蓄積したノウハウとニーズに支えられた。

アイデアが閃いてから、アプリとして形にするまでのステップは全てが手探りでした。そもそもアプリの開発経験もなければ、社内にエンジニアもほとんどいません。しかも、プロジェクト担当は私1人と、業務時間の20%までを本業以外の業務に充ててよいという社内制度を使って参加してくれた2名の計3名。コクヨが大事にしている価値観に「実験カルチャー」というものがありますが、まさに毎日が実験と検証の連続でした。それでも、本気で悩み、試行錯誤を繰り返したことに対して予算をつけて開発を後押ししてくれた経営陣や、アナログノートに対する学生ニーズを細かく教えてくれたステーショナリー事業部を始め、皆さんの協力のおかげで一歩一歩進めていくことができました。

My
Action

勉強アプリ「Carry Campus」をリリース。
学生向けイベントも開催し、さらなる学びの進化を。

試行錯誤を繰り返し、なんとか2022年1月に無事「中高生向け勉強アプリ『Carry Campus』」をリリース。 5ヶ月で10万ダウンロードを達成しました。しかし、これもまだまだ通過点に過ぎません。このアプリを通じて、一人でも多くの中高生が自分らしい学びを実現できるよう、もっともっと機能を強化していく予定です。また、機能の強化だけでなく、実際の中高生の声を継続的に反映できるよう、中高生を集めた探究学習イベント「Campus カフェ」も開催。学びたいと思う全ての方を支援する学習サービスとして、あらゆる施策にトライしながら、ワクワクする未来につながる学びを届けていきたいと思っています。